皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。
コンサルティングオフィス エル・アール・エー 代表、中小企業診断士の菅野です。
前回、4月28日のコラムでは、キャッシュフローを10%改善するためには「売上計画」の達成が必要であり、そのためには、「売上に結びつく営業活動」が必要であることをお伝えしました。
また、最近実施した「新規開拓営業セミナー」について、紹介させて頂きました。
セミナーでは、リアルの紹介営業に加えて、デジタルマーケティングとリモート営業についてご紹介したのですが、今日はその中のひとつ「インサイドセールス」についてご紹介したいと思います。
ぜひ、お付き合いください。
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さて、みなさまは、「インサイドセールス」という言葉を聞いたことはありますか?
インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対して、メールや電話、Web会議ツールなどを活用しながら非対面で営業活動を行う内勤型の営業手法ですよね。
マーケティングとセールスの中間に位置し、見込み顧客の精査・育成を行い、商談機会を創出を行うのが主な仕事です。
一方で、「フィールドセールス」という位置づけのセールス手法があります。
フィールドセールスとは、顧客あるいは見込み客を訪問し、直接の対話を通じて製品やサービスを提案し、商談を進めて受注へとつなげる営業手法を指します。
現在の日本において、多くの企業が基本として行っている営業スタイルが、まさにフィールドセールスですね。
しかし、近年になってインサイドセールスという新たな概念が登場してきたことから、フィールドセールスの役割や存在価値に変化が現れています。
そして、コロナ禍が発生したことにより、加速的な構造変化が進んでいます。
ニューノーマル時代に向け、営業効率・生産性を向上させたいと感じている方も多いのではないでしょうか。
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ここで、インサイドセールスの動向を見てみましょう。
各種データや調査報告によると、世界的にインサイドセールスの市場規模が拡大していることが分かっています。
アメリカ合衆国労働省労働統計局の2015年3月時点のデータによると、米国では、リーマンショックの起きた2008年以降、毎年順調なペースでインサイドセールス市場が成長しています。
欧米におけるインサイドセールスの「売上高」は全体の45%強を占めており、インサイドセールスの「割合」は40%強というデータもあります。(InsideSales.com調査報告書2017)
また、フィールドセールス担当者が、リモート営業(電話など)に費やす時間は、営業活動全体の45.4%で、これは2013年以来89.2%の増加だそうです。
では、日本のインサイドセールスの状況はどうでしょうか。
インサイドセールスを専門とする企業によると、日本の企業もインサイドセールスを導入しはじめているところが増えているといいます。
日本ではインサイドセールスのスタッフが、フィールドセールスのスタッフよりも数が上回るということは全体的にないといわれていますが、今後インサイドセールスが日本でも導入がさらに進んでいくにつれ、フィールドセールスのスタッフのほうが少なくなる可能性も否めません。
まさに、営業の構造改革ともいえる現象ではないでしょうか。
では、実際にインサイドセールス手法を導入するには、どうすればよいのでしょうか。
次の3つのステップを踏んで、準備することから始めます。
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1.現在の営業プロセスの洗い出しとインサイドセールス設計
インサイドセールスを導入し、インサイドセールスを成功させるには、現在の営業プロセスを徹底して洗い出す必要があります。
(参考)<営業プロセスの洗い出しの例>
・プロスペクト(見込み客のリストアップの方法)
・ファーストアプローチ(見込み客との最初の接点の方法)
・ファクトファインディング(情報取得・ニーズ調査・優先順位設定の方法)
・プレゼンテーション(商談獲得・受注の方法)
・アフターフォロー(顧客保持・継続受注の方法)
・紹介獲得(紹介獲得の方法)
洗い出しの際には、営業部門以外の関連セクションからもヒアリングし、現状や問題点のすべてを洗い出すことが必要になります。
営業プロセスを洗い出した後は、現状分析、課題抽出、解決策検討を経て、最適なインサイドセールス設計を行います。
業務プロセス面では、マーケティング担当者やフィールドセールス担当者が担う業務と、インサイドセールス担当者が担う業務を分類し、それぞれの業務を分業化します。
インサイドセールス導入のステップを踏むことで、属人化しがちな従来の営業活動を「戦略的」に捉え直すことができます。
2.新規開拓チームの役割分担
インサイドセールスを導入し、しっかりと機能させるためには、適切な人員配置が必要になります。
つまり、誰が社内にいてインサイドセールスを担当するか、誰が外に出て訪問・商談・クロージングを担当するかを決めることです。
まずは個人のスキルを見極める適性検査を行い、適切な人材を選ぶことから始まります。
インサイドセールスは単に電話やメールを行うだけではありません。
自社商材に「興味・関心」を示した見込み客に効果的な情報提供を適切なタイミングで行い、アプローチし、見込み客のHOT感に応じて育成し、フィールドセールスに引き渡すことができるレベルまで引き上げることが仕事になります。
このため、インサイドセールス担当者には、細やかな状況把握能力と見極め力が必要になります。
しかし、ここで注意が必要なことがあります。
インサイドセールスは、顧客とのコミュニケーション力に優れ、商談・受注の得意なセールスパーソンが必ずしも良い結果を出せるとは限らないということです。
トップセールスパーソン、つまりベテランの営業マンなど受注・商談に慣れている人材は外に出て、訪問営業に専念し、インサイドセールス担当者は、別途選定したほうがよいかもしれません。
もしこれまで外の営業で、あまり成果が出なかったセールスパーソンがいたなら、社内に置いてインサイドセールスを担当してもらうという選択肢もあります。
いずれにしても、業務マニュアルを作成して役割を明確化しておくことが大切です。
3.運用の仕組みとPDCA
実際に運用を始める前に、運用の業務オペレーション、評価制度、管理方法などを決めておく必要があります。
セールスチームの業務プロセスの体系化、運用の業務オペレーションを明確に定め、KPIによる評価制度を構築します。
インサイドセールスにおける評価制度については、成果ではなくプロセスを評価する制度にするのが適しています。(売上ではなく件数をKPIとするなど)
管理方法も重要です。目標と予実の差異の把握、PDCAをどう回すか、フィードバック体制の構築など運用に係る計画もしっかりと定めておきましょう。
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収益を10%UPさせ、キャッシュフローを10%増やすための予実管理の視点は、売上の上げ方、利益の出し方、原価削減の方法、業務改善の方法、資金繰りの方法、運転資金の圧縮の仕方など、多岐にわたります。
このコラムでは、引き続き、これらの方法についてお伝えしてまいります。
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。