皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。
コンサルティングオフィス エル・アール・エー 代表、中小企業診断士の菅野です。
このコーナーでは、売上高1億~5億円の企業が、収益を10%アップさせ、キャッシュフローを10%増やし、健全性を高めるための予実管理の視点についてお伝えしています。
さて、今日のテーマは、「Win-Winの関係」です。
ぜひ、お付き合いください。
さて、当たり前ですが、販路開拓には、時間・労力・資金など、相応のコストがかかりますね。
また、販路開拓にかかるコストだけでなく、見込客からの値引き要請、納期・品質要請への対応、新たなシステムの導入など、付随して発生する新たなコストへの対応が必要になることが少なくありませんし、与信の問題が出てくることがあります。
計画策定時にこれらを見込んだ計画を策定していても、いざ実行してみると、思ったように成果が出ない、あるいは予算以上にコストが膨らんでしまった・・・というケースもありますね。
例えば、販路開拓を急ぐあまり採算性を度外視した取引を開始してしまった、取引先との関係性を構築できず短期間で取引が終了してしまった、取引条件をクリアするために設備投資が必要となった、営業力強化にかかる負担が増加したなど、計画策定時に描いたシナリオから徐々に乖離してしまうなどです。
このような場合、「誰に」「どんな価値を」「どのように」という視点で、いずれかが間違っていなかったか、あるいは不足していなかったかなど、点検してみるといいかもしれません。
話は変わりますが、上記視点のうち「誰に」を変えて、業績が向上したケースをみてみます。
あるところに、生命保険のセールスパーソンがいました。
彼は、新人時代にFPの資格を取り、一般家庭の年金や貯金の相談を受けながら保険を販売していましたが、収入は月収で20万円程度でした。
しかし、あることをしてから、彼の月収は100万円を超えるようになりました。
彼は、いったい何をしたのでしょうか?
結論から言いますと、彼は「ターゲット顧客」を変更したのです。
個人向け保険商品だけでなく、法人向け商品、富裕層向け商品を取り扱うようにしました。
そのために、ターゲット顧客に「顧客価値」を提供するために経営や投資の勉強をするとともに、法人顧客から法人顧客の紹介、富裕層顧客から富裕層顧客の紹介を獲得する「紹介営業」を実践しました。
そのようにして彼は、約1年かけて「ビジネスモデル」を変えたのです。
上記は「ターゲット顧客」を変更した例ですが、加えて、見逃せないことがあります。
彼は、取引先と良い関係を築くための努力を惜しまなかったという点です。
販路開拓は、新たな取引先の「タイプ」や「関係性」によって計画達成が促進されたり、逆に足かせとなったりします。
彼が重視していた「関係性づくり」・・・それが、本日のテーマ「Win-Winの関係」です。
「Win-Win」という言葉は、あちこちで聞かれますが「新規開拓営業」にとって、非常に重要な言葉だと思います。
なぜなら、この関係が構築されない(できない)取引先と付き合い始めると、一時的には良くても、長い目でみれば往々にして計画達成が困難になることが予想されるからです。
この「Win-Win」という言葉は、世界的なベストセラーである「7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー著)」で使われたことで広く知られるようになりました。
「完訳 7つの習慣 人格主義の回復」の第4の習慣「Win-Winを考える」では、以下の通り人間関係を6つに分けています。
Win-Win | 自分も良くなり、相手も良くなる |
Win-Lose | 自分は良くなるが、相手は良くならない |
Lose-Win | 自分には良くないが、相手にとって良い |
Lose-Lose | 自分にも、相手にも良くない |
Win | 自分だけが良くなる |
Win-Win or NoDeal | 自分も相手も良くなる、それが無理なら取引しない |
私たちは、新規開拓営業にかかわらず、ビジネス上の人間関係を「強い or 弱い」「勝つ or 敗ける」 のように「二者択一」で考えてしまうことがありますが、Win-Winの関係を築くためには、「全員が満足できる方法は十分にあり得る」という考え方が欠かせません。
さて、見込客が、値引き要請をしてきた場合を考えてみましょう。
値引き要請に対して「社に持ち帰って検討します」と言ってしまうと、次に訪問した時は「価格交渉」からスタートすることになります。
価格で勝負すると価格に振り回されてしまうことが少なくありません。
この関係で取引を開始すれば、上記の表の「Lose-Win」になってしまいます。
では、どうすればよいのでしょうか。
お客様が値引きをしてほしいと言う前に、まずは自社の製品/サービスの価値や魅力を理解してもらうことが必要になります。
説明する際には、どのお客様にも当てはまるメリットの伝え方ではなく、相手が抱えている課題をヒアリングしたうえで、自社の製品/サービスであればその課題が解決できるということを説明します。
課題解決だけではなく、その先の大きなメリットや費用対効果なども伝え、納得してもらうことができれば、「Win-Win」の関係が築けます。
それでも値引き交渉になってしまう場合、明確な最低ラインを社内で確認した上で、価格交渉中は、見込客に対して「社内で必死に交渉している」という姿勢で対応することが必要です。
ただ、どうしても価格交渉ができず断らなければならないときもあると思います。
この関係が、「Win-Win or NoDeal」です。
私たちは、基本的には「Win-Win」の関係を求めていると思います。
しかしながら、なかなかそこに到達できないことが少なくありません。
なぜでしょうか?
様々な要因があるとは思いますが、その中の一つは「人間関係(相性)」に起因するものかもしれません。
このことについては、このコラムで後ほどご紹介したいと思います。
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。