利益はどこで生まれるのか

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

 

コンサルティングオフィス エル・アール・エー 代表、中小企業診断士の菅野です。

 

今日のテーマは、「利益はどこから生まれるのか」です。このことについて、一倉定氏の考え方とMQ会計の考え方を抑えておきたいと思います。

 

ぜひ、お付き合いください。


一倉定氏は、「事業の成果はお客様から得られる。」としています。

一倉氏の言葉を一部引用させて頂きますと、以下のように述べています。

  • 合理化、能率、品質というようなものは、それ自体は結構なことであるが、(中略)商品の収益性が低かったり、販売力が弱くては、優れた業績は期待できない。
  • 収益は、(中略)商品が売れることによってのみ手に入れることができる。
  • 収益は会社の内部にはない。内部にあるのは費用だけである。収益は外部にあるのだ。つまりお客様のところにあるのだ。(引用:一倉定の経営心得)

話しは変わりますが、製品の原価計算には、二通りの計算方法があります。

税務署提出用の「全部原価FC」と、経営管理用の「直接原価DC」です。

※FC:英語でフルコスティング

※DC:1936年にアメリカで考え出されたダイレクトコストプランと呼ばれる方式に由来

 

全部原価計算は、材料費に手間賃(労務費)と経費(製造経費や外注費)を加えたものを原価とする一般的なやり方です。

 

この計算方法は、「直接材料費(主要材料費や購入部品費など)」に、加工を進める過程で発生する「加工費(労務費や水道光熱費など)」を、仕掛品在庫や製品在庫に上乗せするという特徴があります。

 

仕掛品の在庫分、製品の在庫分は、損益計算書の売上原価から控除されますから、在庫が多ければ多いほど、売れなくても利益が増える「架空利益」が発生してしまいます。

 

したがって、標題の「利益はどこで生まれますか」の答えは、全部原価計算で作成された税務署提出用の決算書では、「工場で製造工程を経るごとに、利益は徐々に増えていく」となるのです。


では、次に「直接原価DC」をみてみましょう。

 

例えば、原材料を1,000円で買ってきて工場に置いたとします。

直接原価DCでは、その後、加工しようが在庫にしようが、1,000円のままであると考えます。

そして、製品をお客様に販売したとき、はじめて利益が生まれるという考え方です。

 

では、両者の違いを下図で確認してみましょう。



いかがでしょうか。

 

全部原価FCでは1億円の経常利益が出ていますが、直接原価DCではマイナス1千万円となっています。

このように、直接原価DCを明らかにすることで、実態をつかむことができます。

 

今日はここまでとさせて頂きます。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。