高まる「生産性向上」の必要性

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

 

コンサルティングオフィス エル・アール・エー 代表、中小企業診断士の菅野です。

 

今日のテーマは、ウィズコロナ・アフターコロナの時代、「高まる『生産性向上』の必要性」です。

 

ぜひ、お付き合いください。


さて、「生産性向上」とは、保有する資源を最大限に有効活用し、小さな投資で大きな成果を生み出すことを意味します。

 

一般的に、「投入した経営資源(インプット)によって、どの程度の成果・価値(アウトプット)を生み出せたか」であり、次のような計算式で表現されます。

 

「生産性」=アウトプット/インプット



生産性を改善する際、3つの指標がよく使われます。

 

それは「労働生産性」「付加価値」「労働分配率」の3指標です。

 

アウトプットを「付加価値額」、インプットを「労働力(1人当たり or 1時間当たり)」とすると、「付加価値労働生産性」となりますね。

 

一方で、「労働」を対象とした生産性に目を向けすぎると、弊害があるという声もあります。

 

それは、従業員に過度なマルチタスク化を要求したり、長時間労働・時間外労働が増えるなど、労働主体の「業務効率化」施策を講じがちになるということでした。

 

確かに、従業員のモチベーションが下がり、逆に生産性が低下する可能性も否めません。


そうならないために、「労働以外」の生産性、例えば、「資本装備率 ※1」「資本生産性 ※2」の考え方を用いることがあります。

 

※1 効率的に付加価値を生み出し、生産性を向上させるために行う機械や設備への投資は有効な手段の一つです。こうした機械や設備への投資の程度を表すのが「資本装備率」です。

 

「資本装備率」とは、総資本を労働力で除した指標で、これが高ければ高いほど資本集約的となります。反対に、低くなるほど労働集約的となります。

 

また、生産性向上のためには、投資した機械や設備が効率的に活用されることが重要です。

 

※2 「資本生産性」とは、保有している機械や設備、土地等の資本がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に捉えるものであり、設備の利用頻度や稼働率向上、効率改善に向けた努力等によって向上すると考えられています。


ここで、労働生産性の定義を確認すると、以下のようになります。

 

労働生産性 = 付加価値額 ÷ 労働力

 

これは、以下のように展開することができます。

 

労働生産性 = 資本ストック ÷ 労働力 × 付加価値額 ÷ 資本ストック

 

資本ストックを労働力で除したものと、付加価値額を資本ストックで除したものは、それぞれ「資本装備率」、「資本生産性」と呼ばれます。

 

すなわち、労働生産性は、以下のように資本装備率と資本生産性でも説明することができます。

 

労働生産性 = 資本装備率 × 資本生産性

 

資本生産性は、設備の利用頻度や稼働率向上、効率改善に向けた努力等によって向上するとされています。


しかしながら、現実的には、老朽化した建物や設備の更新ができず、あるいは高度化した技術水準に対応できず、顧客の要求を満たすことができないケースも少なくありません。

 

一方で、「IT化」が「生産性」を大きく向上させる要因になっており、付加価値および生産性を高めるため、資本生産性と労働生産性が密接な関係にあることを踏まえ、デジタル化への対応・・・即ち「IT投資」に積極的に取り組んでいる企業が増加しています。



ここで、物流業界を例に、将来を考えてみましょう。

 

物流業界は将来、大手企業だけでなく、地域の中小企業においても「労働集約的な業種」から「資本集約的な業種」になるといわれています。

 

理由は、IoT、AI、ロボティクスといった次世代テクノロジーを活用し、「省人化」と「標準化」がこれまで以上に進むと予測されているからです。

 

「省人化」が進めば、物流の各領域において「人の操作や判断」を必要とするプロセスが大きく減少するとともに、物流オペレーションの主体が人から機械・システムに置き換えられていきます。

 

「標準化」は、言い換えれば、物流の「装置産業化」が進むということで、装置産業化が進めば、従来の労働集約的なビジネスモデルから脱することは明らかです。


ウィズコロナ・アフターコロナの時代には、各業界で劇的な変化が進むと思います。

 

「自社が進む方向性」を踏まえ、ビジョン実現のために必要なアクションプランを策定し、具体化に向けて動き出す時期かもしれません。

 

今日はここまでとさせていただきます。

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。