事業承継・引継ぎ補助金

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

中小企業診断士の菅野です。

 

今日のテーマは、「事業承継・引継ぎ補助金」です。

 

ぜひ、お付き合いください。


さて、2020年度第3次補正予算と2021年度当初予算分の事業として行われた「事業承継・引継ぎ補助金」、採択状況は以下の通りでした。

 

1次公募:2021年6月11日(金)~2021年7月12日(月)18:00

「経営革新」→申請総数335件、採択数167件、採択率約50%

「専門家活用」→申請総数412件、採択数346件、採択率約84%

 

2次公募:2021年7月13日(火)~2021年8月13日(金)18:00

「経営革新」→申請総数375件、採択数187件、採択率約50%

「専門家活用」→申請総数420件、採択数330件、採択率約79%


さて、この補助金について、気になるのは事業終了期間です。

 

事業承継(特にM&A)は、一般的な経営課題解決に比して、不確実な要素が少なくないと思います。

 

調整にかなりの期間を要するケースもあり、これまで煮詰めてきた縁談がご破算になることもしばしば・・・したがって、クロージング間近かつ成約確率の高い案件以外は応募しづらい?かもしれません。

 

もう一つ気になるのは、経営革新に係る採択率が低いことです。

 

ただ単に、親族内あるいは従業員による事業承継を行うタイミングだから、この機会に今後必要となる設備投資を行おうという考え方ではなく、これまでとは異なる新分野に展開して事業の成長を図ろうとする考え方の方が採択率は高くなると思います。


さて、話は変わりますが、補助金は何のために行っているかという基本をおさらいしておきたいと思います。

 

補助金は政府が政策を実行するための手段の1つで、政策に合致する企業を選んで支援する制度と言い換えることができるかもしれません。

 

政策課題に応じて目的は異なるかもしれませんが、基本的には「国の経済力を維持・発展させるための施策」と捉えることができるのではないでしょうか。

 

そういえば、学生時代にケインズ経済学に触れ、こうした理論で経済は動いているんだと理解したことを憶えています。

 

民間企業の設備投資はGDP(国の付加価値)を押し上げる要素ですから、投資を促進すれば必然的にGDPが上がり、加えて消費にも波及効果があると考えられるでしょう。

 

一方で、GDPには健康や社会、環境データの追加が必要という声もありますが、経済の実態を把握するための指標、国民の物心両面の豊かさを示す指標として別の指標という選択肢もあるようです。

 

いずれにしても、国が近経(ケインズ経済学)路線で走っている以上、補助政策の本質を抑えておく必要があると思います。


さて、補助金の本質を理解した上で補助事業を利用するか否かを決めるのは、不躾な言い方ですみませんが、政策に合わせた方向に進むかどうかと言い換えることもできます。

 

例えば、デジタル化や脱炭素など、今までは考えていなかった方向に舵を取ることは、自社で負担するコストを考えたら二の足を踏むかもしれません。

 

それでも、時代がそういう方向に向かっていて、なおかつ自社の将来に良い影響があると判断したなら、舵を取り直し、経営革新を進めることもありかもしれません。

 

今日はここまでとさせて頂きます。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。