年輪経営

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

 

中小企業診断士の菅野です。

 

今日のテーマは、「年輪経営」です。

 

ぜひ、お付き合いください。


「リストラなしの『年輪経営』: いい会社は『遠きをはかり』ゆっくり成長 (光文社知恵の森文庫)」 という書があります。

 

著者は大企業の経営者ではなく中小企業の経営者(伊那食品工業 塚越寛会長)です(塚越会長は、様々なメディアで取り上げられ、その業績を称えられています。参考URL:ニッポンの社長

 

塚越会長の考え方は、経営においても、社会生活においても、家庭においても、とても参考になるのではと感じましたので、今回のコラムで紹介させて頂きました。



この書を手に取ると、次のような言葉が出てきます。

  • 普通の庶民は、安定していることが幸せなのです。安定して、安心して、人生を送る。ささやかでも小さいと言われても、みんな、家庭内での幸せを求めるものなのです。
  • 人は幸せな人生を送るために生きているのです。会社を存続させるために生きているのではありません。目的と手段を取り違えては、大変なことになります。
  • 会社とは本来、雇用を確保して社員の人生を守るためにあるのです。それ以上に成長することがいいこととは思えません。
  • 経営にとって「本来あるべき姿」とは、「社員を幸せにするような会社をつくり、それを通じて社会に貢献」することです。売上も利益も、それを実現するための手段にすぎません。
  • 会社を家族だと考えれば、わかりやすいでしょう。食べ物が少なくなったからといって、家族の誰かを追い出して、残りの者で食べるということはあり得ません。

同社の経営スタイルが日本古来の経営家族主義にあることは容易に想像できます。

 

そうは言っても、利益を生み出さなければ、家族を養うことはできません。このことについて、どう考えているのでしょうか。


この書には、いくつかの「キーワード(キーセンテンス)」が登場します。

 

その一つが「年輪経営」です。

 

伊那食品工業㈱は1958年の創業以来、2005年までの48年間、ほぼ増収増益を続けており、その結果、自己資本を充実され、ほぼ無借金経営を実現しています。

 

しばしば「よくそんなに増収増益が続けられますね」と聞かれるそうですが、会社の永続を願い、「遠くをはかる」経営を心掛ければ、自ずとそうなるのではないでしょうかと答えています。

 

いい時も悪い時も無理をせず、低成長を志して、自然体の経営に努めてきたという塚越会長は、「私はこの経営のやり方を『年輪経営』と呼んでいます。」と言います。

 

年輪は、その年の天候によって大きく育つこともあれば、小さいこともあります。しかし、前の年よりは確実に広がっている。

 

年輪の幅は、若い木ほど大きく育ちますが、年数が経ってくると、幅自体は小さくなります。

会社も若いうちは、成長の度合いが大きいものです。年数を経てくると成長の割合は下がってきますが、幹(会社)自体は大きくなっているので、成長の絶対量は増えているものです。

 

また、木々は無理に成長しようとは思いません。

年輪は幅の広いところほど弱いものですが、逆に、狭い部分は堅くて強いものです。



新型コロナの影響はじめ外部環境の変化は、大企業であれ中小企業であれ(業種業態にもよりますが)、マイナスの影響を受けることが多々あります。

 

そんな中でも「年輪経営」を心がけ、順調なときは順調なりに、逆境のときは逆境なりに、進化を続けることが大切ではないでしょうか。

 

コロナ、水害、地震などの災害で被った逆境のさなかにありますが、一方で、乗り越えられない苦難はないと信じ、一途に前進することが大切かもしれません。

 

証券業界では「山高ければ谷深し、谷深ければ山高し」と言われることもあるようです。

そう考えると、逆境で明らかになった自社の課題を解決するための方策を練り、木々が年輪を重ねるように、次の成長のためのアクションを起こす好機と捉えることもできます。


今日はここまでとさせていただきます。

 

皆さまとご家族、社員の方々、縁するすべての方々の幸せをお祈りいたします。

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。