採用の仕方を見直す

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

 

中小企業診断士の菅野です。

 

今日のテーマは、「採用の仕方を見直す」です。

 

ぜひ、お付き合いください。


中小企業にとって、頭の痛い問題の一つが「人材の採用・定着・戦力化」ではないでしょうか。

予実管理支援業務を行っていると、必ずと言っていいほど出てくるのが「ヒト」に係る問題です。

 

特に、技術が身についた「中堅層」が辞めていく場合など、経営資源が限られている中小企業にとって、かなりの痛手になるケースも発生します。

 

さて、中堅層の突然の辞表の背景には何があるのでしょうか。

 

様々な理由があります。例えば、「給料が安いから辞めたい」という場合、「なぜ安いと感じるのか」から始まって、生活環境に変化があったのか、浪費してはいないか、職場の不満を言い換えていないか、どこかから誘いがあったのか、職場の人間関係に不満を持っていたのかなど、憶測的に考えるかもしれません。

 

事実を掘り下げると真の原因を見つけることができますが、一方で「辞める」と言った社員は無理に引き止めず、「自社では提供できなかったさらなる成長を願いながら送り出す」という考え方もあるようです。

 

その場合、新たな人材を採用するわけですが、これが結構難しい・・・中小企業は、大手企業と比べて、知名度がありません。 大手企業の場合は会社名が知られているので、会社名で選ばれることが多いですが、中小企業は会社名で選んでもらえないことがほとんどです。だからこそ、求人を魅力的にして、求職者に選んでもらう必要があります。「面白そうな会社だ!」と思ってもらわないと、求職者を振り向かせることが難しいのです。

 

日本の企業の9割は中小企業です。どこの会社も人不足で求人数も増えているので、その分競合が増えていると言えます。同じような求人では競合と差をつけられず、選んでもらえない。だからこそ差別化し、他の求人と違うということをアピールしないといけません。なんとなく求人を書いていては、差別化できずに埋もれてしまうのです。



話しは変わりますが、20年以上前になるでしょうか・・・ある小さな訪問販売会社でマネージャー職を拝命し「採用・新人研修」を担当させて頂いたことがあります。

 

訪問販売業界は、出入りの激しい業界ですから、年がら年中採用活動をしなければなりません。一方で、採用できれば誰でもいいというわけにもいきません。様々な経験をさせて頂いたうえで、ハローワークの求人は止め、求人広告1本に絞り込むことにしました。そして、仕事の「面白さ」を徹底的に前面に出すようにしました。

 

テーマは「自己実現ができる職場」です。訪問販売業界は、基本的なものの見方や考え方をベースに、達成意欲、スキル向上が不可欠です。今は力不足だけどいずれプロになりたい、そう考えている方に来てもらいたいという一心で広告を作成した結果、求人を出すたびに採用が決定していきました。

 

一方で、採用後の研修を終え、現場に出ると「冷たい断り文句」を受け続け、心が折れてしまう新人も続出します。現場に出て3日で辞めてしまう新人もいました。

 

なので、次の課題は「スキル向上」でした。自己実現をテーマにすると「自分はどうなりたいのか」という命題と向き合うことになります。なので、営業が好きな方、素質のある方、忍耐できる方でないと、定着が難しくなります。面接では、これらのことを見抜いていく訳ですが、なかなか定着してくれません。

 

そして、もう一つの課題と向き合うことになりました。それは、今いるベテラン社員との関係を良くすることでした。

 

成果主義の厳しい世界を生き残ってきたベテラン社員にとって、新人育成はできれば関わりたくない仕事だったようです。新人育成を経験したものの、教えても理解しない、何か言えば噛みついてくる、挙句の果てに恨まれる、という経験もあったようですし、ましてや営業の世界ですから、どちらかというと一匹狼的なキャラクターも少なくなかったと思います。

 

振り返ると、これは非常に難しかったです。リーダー格のベテラン社員を拝み倒し、1日1言でいいから新人に経験を語ってほしいとお願いしました。

 

また、1人だけ採用することは止め、少なくとも2人の新人を採用するようにしました。新人同士がコミュニケーションを取れるようにして、心が折れないよう配慮致しました。しかしながら、それでも定着は難しかったというのが実感です。



さて、当時を振り返り、採用について一考しますと、まずは、自社にどのような魅力があるのか洗いだすことが必要だと思います。例えば、「給料は他より多くないけど、その分、人間関係が良くてアットホーム」「モノづくり(流通やサービス等)の面白さに出会える」「平均勤続年数が長い」「同年代が多いからすぐに打ち解けることができる」など。具体的に自社のどこが、どのように良いのか言語化して求人広告を作成することが大切だと思います。

 

加えて、自社にどのような弱みがあるのかを洗い出しておくことも大事です。どんな部分がマイナスなのか、どんな部分が他社と比べて劣っているのか、をしっかり理解することで、採用のネックとなる事象を把握するだけでなく、会社を少しずつ良い方向へと進めていくことができます。

 

また、「採用したい人物像」を決めておくことが大切です。まずは「最低限何ができればいいのか」を決めます。また、どういった性格・人物像であれば自社になじむのかを考えていきます。ここで注意する点は、「誰でも採用する」という考えを持たないことです。誰でも採用するという考えでは、募集をかけた際、欲しい人材が集まらず、時間だけが過ぎてしまいますし、採用後のミスマッチが発生し、早期離職に繋がってしまう可能性が高いです。必ず自社に合う人がいると思いますので、その人物とはどんな人物なのか、じっくり考え言語化して求人広告を作成することが大切だと思います。


さらに、求職者が何を求めているのかを考えておく必要があります。例えば、自社が募集しようとしている職種を探している人は、なぜその仕事をしたいのか、その仕事の中でなにを求めて転職活動をしているのかなど転職者のニーズを知ることが必要です。最近では、残業をしたくない、休みが多いほうがいいというニーズが増えているようですね。そのようなニーズに対応できる体制を取るには、業務プロセスの見直しを含め、自社にできることは何かを考えておくことも大切だと思います。

 

今の時代、若者の仕事探しの主流はスマホに変わりました。こうした時代の流れに乗った求人サイトに求人を載せられているのかどうかでも当然効果は変わってきます。ここも意識しないといけない部分かもしれませんね。


今日はここまでとさせていただきます。

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。