グリーン枠の創設

皆さま、こんにちは、そして、こんばんは。

中小企業診断士の菅野です。

今日のテーマは、「グリーン枠の創設」です。

ぜひ、お付き合いください。


さて、令和元年度補正・令和三年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金10次締切分)では、新たにグリーン枠が創設されましたね。

 

公募要領では、グリーン枠を「温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援」するものと位置付けており、基本要件に加えて、以下の全ての要件に該当するものであることとしています。※詳細は公募要領をご確認ください。


〇 グリーン枠については、基本要件に加えて、以下の全ての要件に該当するものであること。

 

(1) 次の①又は②に該当する事業であること。

 

①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発

(例:省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発、非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発、廃棄物削減に資する製品・サービスの開発 等)

 

②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善

(例:生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資、水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化、複数ラインの作業工程を集約・高効率化 等)

 

(2) 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。

 

(3) これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと。


【参考:H29年 環境・循環型社会・生物多様性白書】


ここで気になるのは、「炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業」という言葉ですが、炭素生産性は、付加価値額※1 ÷ エネルギー起源⼆酸化炭素排出量※2で算出されます。

※1 付加価値額=営業利益+⼈件費+減価償却費

※2 エネルギー起源⼆酸化炭素排出量は、購入電気、石油やガスなどの燃料、産業用蒸気などの熱から排出される二酸化炭素量

 

したがって、この炭素生産性を年間1%以上増加させるには、付加価値向上と生産⼯程等の脱炭素化を両⽴させる設備を導入することが必要となるわけですね。

 

では、生産⼯程等の脱炭素化と付加価値向上を両⽴する設備とはどのようなものでしょうか。

 

経済産業省資料「エネルギー利⽤環境負荷低減事業適応計画(カーボンニュートラルに向けた投資促進税制)の申請⽅法・審査のポイント」を参考にしてみると、古くなったファンを最新のものに交換する、⼯場の主要機械装置を燃費の良い最新のものに更新する、照明器具を最新のLEDに交換するなどがあげられており、他にも購⼊電⼒の⼀部を再エネに切替るなどが対象となっています。

 

一概には言えませんが、このような考え方で生産工程の脱炭素化を進めながら、付加価値向上を図るといった取り組みが有効かもしれません。

 

また、同資料では、⼤きな脱炭素化効果を持つ製品の⽣産設備として、化合物パワー半導体、EV⼜はPHEV向けリチウムイオン蓄電池、定置⽤リチウムイオン蓄電池、燃料電池、洋上⾵⼒発電設備の主要専⾨部品等をあげています。

 

しかしながら、経営資源が限られている中小企業にとって、かなり高いハードルだと考えられますので、自社のできることで、炭素生産性の向上、付加価値向上を目指すのが現実的だと思います。


また、これまでの温室効果ガス排出削減に向けた詳細な取組状況がわかる書面を提出することが要件として定められています。

 

では、これまでの取り組みとは、どのようなものなのでしょうか。

 

例えばですが、代表的なものとしては、省エネやエネルギー効率化、資材などのリサイクル、再生可能エネルギーの利用、商品や容器のエコ化、カーボン・オフセットなどがあげられると考えられます。

※できれば、取り組みの成果をデータとして提出されるとよいと思います。

 

いずれにしても、環境問題への対応は、中小企業にとっても重要な経営課題となると思います。

 

現代を生きる私たちが、次世代に残せる本質的な価値は何かについて、現場の「ビジネス」の視点から考えることが求められているのかもしれませんね。

 

今日はここまでとさせて頂きます。

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。